補助金とは?助成金とは違う?行政書士がわかりやすく解説!

  • 2024年6月21日
  • 2024年6月24日
  • 補助金
  • 11View
  • 0件
  • 補助金って何?
  • どうやったらもらえるの?
  • 補助金と助成金の違いって何?

このような悩みを解決できる記事になっています。
私は行政書士として補助金申請業務に携わり、企業勤務時代は経理部で補助金・助成金等の利用検討をした経験もあるため、専門家と利用者、双方の視点で解説が可能です。
この記事を読めば、補助金について理解し、自身に合った補助金を検討することができるようになります!
記事前半では補助金の意味やメリット等を、後半では具体的な補助金や申請の流れ等を解説していきます。

補助金とは?助成金とは違う?

そもそも補助金とは何なのでしょう?また、似たようなもので助成金というのも聞いたことがあるかと思います。

それぞれの意味、違いについて見ていきましょう。

補助金とは

補助金とは、国が特定の事務、事業に対し、国家的見地から公益性があると認め、その事務、事業の実施に資するため反対給付を求めることなく交付される金銭的給付です。

国や自治体の政策目標に合わせ、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部が補助されます。

助成金とは

助成金は、補助金と同じく事業における支出の一部または全部について給付する制度です。

厚生労働省が管轄する雇用関係の助成金の他、経済産業省が管轄する研究開発関係の助成金もあります。

補助金と助成金の違い

助成金は、要件を満たせば原則支給されるのに対し、補助金は「採択」される必要があります。

なお、「補助金」「助成金」は必ずしも明確に区分されているわけではなく、「助成金」と名の付くものであっても実質は「補助金」である場合もあり、注意が必要です。

補助金のメリットとは?

返済不要な資金調達方法

補助金は融資とは異なり、原則返済の必要がありません。返済について考慮する必要がありませんので、事業に対する大きなメリットになります。

事業計画を深く考えることができる

補助金を申請する際、公募要領に沿った事業計画を作成する必要があります。
事業について深く考えることで、事業について見直すきっかけとなるでしょう。客観的な自社分析をすることにもつながります。

補助金のデメリット・注意点とは?

手間や時間がかかる

事業に適合する補助金を探す必要がありますし、公募要領を深く理解し、事業計画書等の資料を作成する必要があります。さらに採択された後も、報告義務があります。かかる時間・手間とメリットを比較して、取り組むようにしましょう。

採択されるとは限らない

補助金には原則審査があり、申請しても必ず採択されるわけではありません。いかに採択される事業計画を作るかが重要になります。採択率は、各補助金や募集回により様々です。

原則後払いとなり、一旦資金を全額用意する必要がある

多くの補助金は、後払い制となっています。
例:総額500万円の事業で補助率が1/2の場合
まず500万円を自己資金(借入などを利用してもよい)で支出し、事業終了後に申請をして、250万円が入金されます。
事前にお金をもらえると勘違いしないよう、注意しましょう。

事後返金の可能性がある

補助金受給後も、事業の実績等を継続的に報告する必要があります。事業計画通りの内容を実施していない場合、補助金の一部または全部の返還を求められる場合もあります。

最も注意するべきこと

補助金を貰うことを目的として、事業計画を立てるのはやめておきましょう。
補助金の申請は、計画作成のために多くの時間・手間を伴いますし、事務作業負担もあります。
補助金が無くともやりたい事業・投資計画があり、補助金が出ればラッキー、くらいの認識を持っておくことをおすすめします。

補助金の探し方は?サイト3選

多様な補助金があるため、探すときは情報がまとめてあるサイトを利用するのがおススメ。ここでは、3つのサイトを紹介します。

ミラサポplus

ミラサポplusは、中小企業・小規模事業者・個人事業主を対象に、補助金・給付金等の
情報を提供している国のサイトです。人気の補助金として、利用率の高い4つの補助金を詳しく紹介しています。

J-Net

J-Net21は、中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイトです。様々な経営課題ごとに、知りたい情報を簡単に探すことができます。地域や分野などで、補助金・融資等を検索することが可能です。

jGrants

jGrantsは、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムです。申請システムですが、補助金検索機能があり、業種やキーワードから検索する機能があります。検索には不要ですが、電子申請にはGビズIDが必要です。

どんな補助金がある?5大補助金+1を解説!

それでは具体的に、どのような補助金があるか見ていきましょう。
生産性革命推進事業に係る補助金として、「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」の4つがあり、「事業再構築補助金」を加えて5大補助金と呼ばれたりします。また、新たに「中小企業省力化投資補助金」が始まり、注目されています。
※詳細に解説すると膨大な文章量となってしまうため、上乗せ要件や詳細な要件等、一部省略してしている部分があります。申請の際は、ご自身にて公募要領をよくご確認ください。

事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った「事業再構築」の挑戦をサポートする補助金です。
利用するには、「成長分野に進出する」「自社の事業が縮小分野である」「コロナ融資・借換を利用している」などの条件に該当している必要があります。

補助事業者

中小企業者・中堅企業等

補助率・補助上限
区分 補助額 補助率
成長分野進出枠(通常類型) 100万円~6,000万円 中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3
成長分野進出枠(GX進出類型) 100万円~1億円 中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3
コロナ回復加速化枠(通常類型) 100万円~3,000万円 中小企業者等:2/3 中堅企業等:1/2
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) 100万円~1,500万円 中小企業者等:3/4 中堅企業等:2/3

ものづくり補助金

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。革新的な製品・サービス開発又は⽣産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援することを目的としています。

補助事業者

中小企業者・小規模企業者等

補助率・補助上限
区分 補助額 補助率
省力化(オーダーメイド)枠 100万円~8,000万円 中小企業:1/2 小規模企業者等2/3
補助金額1,500万円超1/3
製品・サービス高付加価値化枠

(通常類型)

100万円~1,250万円 中小企業:1/2 小規模企業者等2/3
製品・サービス高付加価値化枠

(成長分野進出類型)

100万円~2,500万円 2/3
グローバル枠 100万円~3,000万円 中小企業:1/2 小規模企業者等2/3

IT導入補助金

様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金です。申請するには、事務局より採択を受けている「IT導入支援事業者及びITツール」を選択する必要があります。

 申請回数に上限がなく、前回交付決定より12か月以上経過していれば再度使えるため、継続的に活用しやすい補助金です。

 以前はホームページやECサイト作成も利用できましたが、現在は対象外となっています。

補助事業者

中小企業・小規模事業者等

補助率・補助上限
区分 補助額 補助率
通常枠(1プロセス以上) 5万円~150万円未満 1/2
通常枠(4プロセス以上) 150万円~450万円以下 1/2
セキュリティ対策推進枠 5万円~100万円以下 1/2
インボイス枠(対応類型) 

ITツール

350万円以下 2/3~3/4
インボイス枠(対応類型) 

PC/タブレット等

10万円以下 1/2
インボイス枠(対応類型) 

レジ・券売機

20万円以下 1/2
インボイス枠(電子取引類型) 350万円以下 中小企業・小規模事業者等:2/3

その他:1/2

※インボイス枠(対応類型)は、ハードウェアのみの申請はできません。

小規模事業者持続化補助金

持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の販路開拓、業務効率化の取り組みを支援することを目的とした補助金です。

補助事業者

小規模事業者

補助率・補助上限
区分 補助額 補助率
通常枠 50万円 2/3
賃金引上げ枠 200万円 2/3 (赤字事業者は3/4)
卒業枠 200万円 2/3
後継者支援枠 200万円 2/3
創業枠 200万円 2/3

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する補助金です。

補助事業者

中小企業者等

補助率・補助上限
区分 補助額 補助率
経営革新(創業支援類型) 100万円~600万円 1/2~2/3
経営革新(経営者交代類型) 100万円~600万円 1/2~2/3
経営革新(M&A類型) 100万円~600万円 1/2~2/3
専門家活用(買い手支援類型) 50万円~600万円 2/3
専門家活用(売り手支援類型) 50万円~600万円 1/2~2/3
廃業・再チャレンジ 50万円~150万円 2/3

中小企業省力化投資補助金

中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援する補助金です。

「カタログ型」の補助金で、カタログに掲載されている設備を補助金を利用して導入することができます。

補助事業者

中小企業者等

補助率・補助上限
区分 補助額 補助率
省力化投資補助枠(カタログ型) 200万円~1,000万円 1/2

 

※補助事業者について

補助対象となる事業者については、「中小企業基本法」「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」に基づき分類されています。

「原則」であるため、公募要領記載の内容をよく確認しましょう。

小規模企業者・小規模事業者
業種 従業員数
商業・サービス業 5人以下の会社及び個人事業主
サービス業(宿泊業・娯楽業) 20人以下の会社及び個人事業主
製造業・その他 20人以下の会社及び個人事業主

※「中小企業基本法第二条第五項」に基づく場合は「小規模企業者」・「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律第二条」に基づく場合は「小規模事業者」と表記されます。実質的にはどちらも差はありません。

 

中小企業者
業種 資本金 従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに

 工業用ベルト製造業を除く)

3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

※資本金の額又は出資の総額が対象額以下の会社又は常時使用する従業員の数が対象数以下の会社及び個人

 

中堅企業

常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社等(中小企業者を除く)

※「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」において定義されました。

 

補助金申請の流れは?12ステップで解説

補助金申請の具体的な流れを、事業再構築補助金を例に見ていきましょう。

公募

補助金事務局から、公募要領が発表され、募集を開始します。

申請書作成

公募要領に従い、申請書の作成を行います。認定支援機関等、外部機関の確認・承認が必要な補助金もありますので、早めに確認しましょう。

同じ補助金でも、募集回により要件等が変わる場合もありますので注意してください。

補助金申請

補助金申請を行います。電子申請システム「jGrants」から行う場合や、専用のページから行う場合などがあります。GビズIDが必要になる場合がほとんどですので、事前に作成しておきましょう。

採択通知

申請に対し審査が行われ、審査結果が発表されます。採択された場合、次の手続きについて指示が行われます。

交付申請

採択後、事務局から指定された書類を提出します。なお、この交付申請については不要な補助金もあります。

交付決定

「補助金交付決定通知書」を受領したら、事業を開始できます。

注意点として、採択後に送付される「補助金交付決定通知書」を受領してからでないと契約や経費支出が認められません。受領前に支出した経費は、補助対象外になりますので気を付けましょう。

補助事業実施

採択された事業計画に従って事業を実施しましょう。補助金の対象となる事業期間内に実施・支払等を行わなければなりませんので、迅速に行います。

実施期間中に状況報告・中間報告を求められる場合もありますので、対応しましょう。

実績報告

定められた事業期間内に実績報告を提出します。提出した報告に対し、事務局がチェックを行います。

作成した事業計画に沿っていない内容である場合等、補助金が支払われないケースもあります。

確定検査・交付額決定

実績報告が事務局に承認されると、交付額決定が通知されます。

補助金の請求

交付額決定通知を受け取ったのち、補助金請求を行います。

請求をしないと支払われませんので注意しましょう。

補助金の支払い

補助金の請求が受領されれば、支払が行われます。

事業化状況報告・知的財産権等報告

補助金支払の後も、規定された年数、事業進捗を報告する義務があります

 

補助金相談をするなら誰に頼むべき?

補助金申請を相談するなら、誰が良いのでしょうか。

厚生労働省管轄の助成金については、申請代行は社会保険労務士の独占業務です。

それ以外の助成金および補助金の申請代行については、士業の独占業務ではありません。

代表的な相談先として、行政書士・弁護士・税理士・中小企業診断士があげられます。

その中で行政書士は、国や地方公共団体などの官公署に提出する書類作成を独占業務としていますので、事業計画作成アドバイス、書類作成に加え、申請代行のサポートを受けられます。

 

まとめ

今回は補助金とはどういったものか、メリットやデメリット等について見てきました。

補助金を有効活用することで自社を大きく成長させることができる反面、利用にはハードルがあり、注意すべき点も多くあります。

補助金を利用するには公募要領を読み込み、理解を深めたうえで事業計画を作成しなければなりません。

経営者の時間は貴重であり、細かい部分の理解等に多くの時間を割くのは、賢明ではないでしょう。

行政書士のような専門家を適切に利用し、事業の価値を高めていっていただければと思います。

最新情報をチェックしよう!